■ 2006年・アーベントロート没後50年 -- 50.Todestag(2006.05.29) に際して  ■

2006.05.29






ギュンター・ヴァントさんと親交のあった方にお願いして、 アーベントロートに関し自分が分からなかったことを、何度か ギュンター・ヴァントさんに(直接ではないが知人経由で) 私は質問させて頂いたことが有りました。
それは2001年だったかと思います。

私がまだこのアーベントロートについてのサイトを全く作ってはいなかった頃。
(“いつか誰か作ってくれないかな、有名な指揮者なのにまだ専門サイトが無いなんて 不思議だし、不便だ〜〜〜”と思うことはありましたが、でもまさかその後 自分がアーベントロート・サイトを作成するとは思いもしなかったです。)

その折にいくつか貴重なエピソードを伺えたのですが、 私がアーベントロートのファンだ、ということも その知人から聞かれたギュンター・ヴァントさんが、
私・境山への伝言、としてある時こう仰いました。


「私の録音はアーベントロート教授の録音を全部聴いた後で、
聴いて下さい」



私はヴァントさんから色々伺った中で、このことが最も強く印象に残っています。


(知人はギュンター・ヴァントさんとはドイツ語と英語とでやり取りされてたのですが、 私が知人を介してお話伺う際には、知人にその都度日本語訳して頂いてました。)


お忙しいだろうから、またそのうち質問させて頂こう・・・と、私ものんびりしていたのですが、 ヴァントさんは2002年2月14日に亡くなりました。


半年経った頃ある晩ふと思い立って、2002年8月24日に私はこのサイト
「 about Abendroth 」
を立ち上げました。

最近振り返ってみて思うのですが、

“アーベントロート教授の録音を全部聴いた後で”

とヴァントさんが私に言われた後ずっと、自分自身の頭の奥の方にはいつもこの言葉が残っていたこと、

「アーベントロートが亡くなってもう40年以上が経ち、インターネットも普及してきているけれど、 いまだにアーベントロートの専門サイトや本が見当たらない」
というのがアーベントロート・ファンである私自身にとっても大変不便であったこと、

この2つが、このサイトを作るにあたり最も大きな動機になっていた様な気がします。



◇  ◇


これも2001年頃、知人を介してヴァントさんから伺ったお話になりますが、

ヴァントさんは1度だけ、アーベントロート教授に指揮を誉められたことがあったそうです。 ケルンのギュルツェニヒ管弦楽団でモーツァルトのセレナード第9番「ポストホルン」を ヴァントさんが指揮した時、

アーベントロート教授が

「自分はもうこの曲は振らない。お前に任せた。自分が安心して聴ける、初めてのお前の演奏だ。」

と仰ったのだそうで、これはアーベントロート教授が亡くなった年、1956年のことだったそうです。
(このお話は、私のサイトで出したのが初出になるかもしれません。)





ギュンター・ヴァントさんは指揮は独学・・・と言われることもあるようですが、 (音楽事典などでもよくその様に書かれているみたいです)

しかしヴァントさんやアーベントロート教授に直接のつながりがあった方々に伺いますと


「ギュンター・ヴァントはアーベントロートの忠実な生徒だ」


という話をよく聞きます。

これを聞いた最初の頃、私にはそれはとても不思議なことに思えたのですが

「でも先入観を持たずに、ヴァントの色んな録音を聴いてみなさい、聴こえてくる音の印象は 違うものも多いのだが、アーベントロートもヴァントも、やろうとしていることは 実は結構近いんですよ」

と知人に言われました。
私もヴァントさんの色んな録音をCDで聴いて、DVDで指揮姿も拝見したのですが、 最近になってからようやく、そのことが分かってきた様な気がします。



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ヴァントさんから伺ったことなどをベースにして、本なども参照し 以前私が情報まとめて作ったページがこちらになります。

  ↓
wand.html



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(2007年、2009年追記)
Hermann Abendroth. Ein Musiker im Wechselspiel der Zeitgeschichte
Dr. phil. Irina Lucke-Kaminiarz
www.amazon.co.jpで1,709円(2009年06月現在)

アーベントロートのバイオグラフィー、ついに2007年5月末ドイツで出版。
www.amazon.deではEUR 12,90なり。
写真、演奏会でのプログラムなど情報満載。
アーベントロート・ファン必見の本です。





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